テラコッタ製の笑顔像と呼ばれる肖像です。
なんとも明るくて朗らかな笑顔がとても印象的です。
弓型の眉、アーモンド型の瞳、高い頬が三角形の輪郭の中に表現され、開いた口からは縦に並んだ歯が見えます。笑顔像の特徴として本来は歯と共に、突き出た舌が表現されていたと思われますが、破損しています。
この特徴的な微笑みの表現は、踊り、音楽、などの神に関連づけられた儀式の際にこのような喜びに溢れた表情をしていたことを表しているか、又は古来よりメキシコで作られていたリュウゼツランを使ったお酒には、幻覚作用があり、儀式の際にそのお酒を飲んだために、このような表情になっていたとも言われています。
頭に着けられたヘッドドレスの装飾は他の笑顔像に比べるとデザインに特徴があり、中央に幾何学的な模様を配し、両脇には編み込み模様がほどこされています。
耳には棒状の耳飾りをつけています。
頭部のみですが、とても良い保存状態です。
参考資料: Ceremonia Sculpture of Ancient Veracruz, Hillwood Art Center, Long Island University, 1987, for the type. / Corps et Cosmos, La sculpture précolombienne du Mexique, Expo. Bruxelles, 2004, cat. N° 6 / T. Leyenaar, G. van Bussel, G. Weber, From coast to coast, Pre-columbian sculptures from Mesoamerica, 112, n° 44 - 49