アメリカ先住民美術の起源であるバルディビア文化のベージュ・テラコッタ製女神像。
南米最初の新石器社会の工芸品。 印象的な容姿を持つ地母神は古代エクアドル陶芸を代表する名作で、その起源はアメリカ大陸で最も古い陶芸文化にまで遡ります。この作品に描かれている地母神には、見る者すべてに伝わる普遍的な感性が表現され、バルビディア人の類まれな創造性をうかがい知ることができます。膨らんだ腹部と胸をあらわにし、脚を大きく広げて立つ姿は、見る者に女性的な魅力と生殖能力の高さを思わせます。印象的な髪形にはバルディビア人らしさが表現されている一方で、生命の無限の周期、完全性、創造性及び普遍的結束の象徴である地母神らしく、女性的特徴は全人類の結束を象徴しています。生命力に満ちたこの偶像は、私たちを自然界の永久的なリズムに結び付けてくれる、全人類によって慈しまれるべき真の遺産なのです。この作品には、何千年にわたって人類に語り継がれてきたメッセージが込められています。耳を傾けようとすれば、現代の私たちもそのメッセージを聞くことができるのです。 豊かな乳房の下に腕を置いて立つ古代の女神をかたどったこの像には、生命の与え手及び育み手としての女性の力強い存在感と美しさが描かれています。偉大なる母は、滑らかで肉感的な体から発せられる温かな輝きで私たちを包み込み、私たちを全自然界そして何世紀も昔に彼女を創造し崇拝した人々と結び付けてくれるのです。