慈悲の仏、観音菩薩をかたどった青銅製の小像。
釣り合いのとれたしなやかな形状と優美な装飾が特徴的な中世ジャワの彫像です、 蓮の花びら上で右脚を立てて座る観音菩薩の姿が描かれています。
頭部には釈迦の小像と冠がかたどられ、胴体には丈の長いドーティと神聖な衣服が描かれています。左手には蓮の花が握られ、右手はムドラーの形にかたどられています。 緑色の古艶が美しい作品です。
7世紀以降、ジャワ島中部には王国が栄えていました。
674年にはカリンガと呼ばれる仏教王国が出現し、この王国はシマという女王により治められていました。古代ヒンドゥー教・仏教文化と近代イスラム文化が混在するジャワ島中部では、いたるところから歴史がにじみ出ています。
ヒンドゥー・ジャワ文化は、8~10世紀に栄えたシャイレーンドラ朝およびマタラム王国時代に発展した文化です。この時代には、世界最大の大乗仏教建造物であるボロブドゥール、サンジャヤ王朝の歴代君主によりシヴァ神を祭るために建造されたヒンドゥー教の巨大建造物プランバナン寺院群、ジャワ島最古のヒンドゥー教寺院からなるディエン高原の古代遺跡など、ジャワ島で最も素晴らしい宗教建造物がいくつも建設されました。これらの建造物すべてが、古代ジャワ文明におけるヒンドゥー教の影響力を物語っています。 ジャワ島中部のプラオサン寺院には、観音菩薩をかたどった同様の彫像(9世紀の作品)が展示されています。