ガンダーラ仏教美術を代表する灰色片岩製頭部像。
繊細にかたどられた造作と念入りに作られた髪形に目を奪われずにはいられない素晴らしい作品です。美しい弓なりの眉毛の間に彫られた白毫(第3の目)と薄い口ひげから、この像が菩薩をかたどったものであることがわかります。パールひもでゆわかれた上品な巻き毛は頭頂部でまとめられています。 ガンダーラの仏像及び菩薩像の大きく開けられた目、美しくかたどられた鼻及び上品な口は、アレクサンダー大王によってインダス川流域に持ち込まれたアポロ像の影響を思わせます。
参考文献:『ガンダーラ美術』栗田功著(2003年)