シュンガ朝様式の土器

    • 文化様式 シュンガ朝
    • 原産   インド・ベンガル
    • 年代 紀元前2~1世紀
    • 素材 テラコッタ
    • 大きさ H18cm
    • 価格  ¥850,000-
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オレンジ色とハシバミ色の粘土で作られたChandrakutegarhの珍しい鋳物。

 

壺の腹部には、強く抱き合う4組の男女の姿が官能的に描かれ、1組は花に囲まれ子どもを連れています。それぞれの男女は、宮殿の柱を思わせる縦線により分けられています。男女は似たような衣服を身に付け、豪華なターバンとイヤリングなどの宝石類を身にまとっています。

豪華な装飾と主題、そして今日のインドで使われている典型的な水差しの形状が用いられており、壺と水は喜びと繁栄の象徴であることから、婚礼等の祝賀行事にまつわる品である可能性が高いと考えられます。

 

遺跡の地として知られるChandraketugarhは、伝説的な人生を送ったその土地の王に由来する地名で、カルカッタから40キロほどのベンガル沖積平野に位置する村落群からなっています。テラコッタ製の多くの遺物が出土していたこの地域は、20世紀初めにはすでに遺跡の地として広く知られていました。この地域から出土した遺物には、型打ちの技術が駆使された盾、小像、装飾品やつぼなどが含まれ、その質の高さから、ベンガル南部で出土する同様のテラコッタはすべてChandraketugarhの名称で呼ばれるようになりました。Chandraketugarhに対する評価は広がってきてはいるものの、その研究は多くの点において初期段階にあります。破片として出土する遺物が多いため、土器の題材や用途の特定が難しく、その意味が明らかにされていないものも多くありますが、全体的には、紀元前4世紀から西暦5世紀までの長きにわたって作られ続けてきたものと考えられています。その中でも、紀元前約185~73年にわたって北インドに君臨したシャンガ朝時代には、特に多くの種類の土器が作られていたと考えられています。そして、シャンガ朝時代に開花したこうした芸術的風潮は、次の世紀にまで続いたと言われています。ここでご紹介している盾およびつぼはいずれもこうした時代背景および様式に当てはまるもので、複雑な描写および保存状態の良さを考えれば、遺物としては特に貴重な物です。粗末な素材で作られた民衆芸術とは思えない精巧な美しさが表現されたこれらの土器は、この地域のテラコッタに関する貴重な情報源となることでしょう。

 

- 参考資料:Enamul Haque, Chandraketugarh : A Treasure House of Bengal Terracottas. Dhaka, The International Centre for Study of Bengal Art, 2001