「グレーワッケ(硬砂岩)」と呼ばれる美しい緑の石に男性の胸部をかたどった珍しい小像のかけら。グレーワッケは古代にしか存在しない石です。男性は鎖骨まで伸びるつややかなかつらを付けています。大きな耳、幅の広い鼻、ふっくらした頬と厚くて小さな唇が特徴的です。表情は穏やかでほほ笑んでいます。胸部に対角線状の模様が施された左右不均等のコートを着ています。まっすぐに開かれた左手が右の胸筋の上に置かれています。
断面であることを除けばよい状態です。石自体のつややかな輝きが美しい一品です。
- 参考資料:Elisabeth Delange, Catalogue des statues égyptiennes du Moyen Empire, Musée du Louvre, 1987.