チョンタル 変成閃緑岩手斧像
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チョンタル 変成閃緑岩手斧像

文化様式 チョンタル
原産   メキシコ ゲレーロ州チョンタル
年代   紀元前5世紀〜紀元前1世紀 
素材   変成閃緑岩
大きさ  高さ11cm
価格
参考文献 Carlo and Robin Gay,Chontal-Ancient Stone Sculpture from Guerrero Mexico,Geneva,2001  

開いた脚と細い腰が特徴的な先祖の立像。丸い胴体に彫られた溝は腕が両脇で組まれている様子を表しています。幅の広い鼻、自然な形の口、(もともとは貝殻の象眼が施されていた)窪んだ目と開いた口は顔に豊かな表情を与えています。頭頂部には儀式による破損が見られます。緑と黒の変成閃緑岩。

メキシコ、ゲレーロ州の中心に位置するリオ・メスカラ地方には、人をかたどった斧など、非常に力強く表現豊かな儀式用の石造物を生み出した文化が栄えてました。有名なオルメカ文化と同じルーツを持つといわれるメスカラ地方の人々は、これらの手斧に現代美術の力強い抽象表現に似た魔力と魂を吹き込んだのです。この立像のようにわずか数本の溝で巧みに人物を象った石像には抽象的な人物像を通し、人間という存在の力強さと本質がはっきりと表現されています。この立像を見る人は、その印象的な顔つきと魂の力強さ、満ちたその目に擬視されているような錯覚にとらわれることでしょう。古代メスカラは未だに謎の存在とされていますが、こうした類まれな彫刻美術作品は、私達にその存在を感じさせてくれます。